高潮・津波からの避難に関する講演会 宇検村

2022年04月24日

地域

個別避難計画の策定に向けた基礎データ収集のため、標高の測量体験をする住民=23日、宇検村

宇検村は2020年度から鹿児島大学や民間団体などと連携し、台風による高潮や地震の津波に備えた避難行動要支援者向けの個別避難計画策定を進めている。各集落で測定した標高データを生かし、個別の避難計画を策定する方針。取り組みの一環として22、23の両日、村内各集落の測量結果を踏まえた避難計画に関する講演会と、標高を調べる測量技術の講習会を村内で開いた。

 

同村の居住域は険しい山に囲まれた平野上にあり、大半が標高5㍍以下に立地。今年1月、トンガ沖海底火山の噴火に伴って津波警報が発表された際は、多くの村民が避難した。

 

同村防災アドバイザーで、同大学総合教育機構共通教育センターの岩船昌起教授は2月と3月、村内数百地点の測量を実施。海抜標識の数値が誤っている箇所が見つかったほか、同村が設定した高潮警報と注意報の基準潮位よりも海抜が低い場所が確認されるなど、警報や注意報の基準値見直しの必要性が示されていた。

 

同村生涯学習センターであった22日の講演会には村民約80人が参加。講師を務めた岩船教授は村内での測量結果を紹介し「津波や高潮から避難する場合、自分が住んでいる場所の標高に応じて避難方法は変わる」と強調。「自主防災組織単位で集落内の標高データをまとめ、個別の避難計画立案の基礎データにしてほしい」などと呼び掛けた。

 

23日は水準(レベル)測量機を使った測量技術講習会があり、自主防災組織の代表者や同村職員らが参加。同村役場敷地内にある一等水準点を発着点に、役場周辺5箇所の標高データを測定した。

 

講演会と講習会に参加した湯湾集落の藤村茂樹区長(69)は「集落内の標高を知ることで、自主防災組織が要支援者を避難させる際の役割も明確になる。湯湾集落は標高が低い場所が多く、自分が住む家の標高を理解することは大事」と話した。

 

同村では今年度、標高データを生かしてモデルとなる湯湾集落の個別避難計画を先行して策定する。その後、残る13集落ごとの計画策定を進める計画だ。