「悔しさは次へのエネルギー」 世界の名コーチが講話 井村雅代さん講演会・伊仙町
2023年08月27日
社会・経済
アーティスティックスイミング(AS)の日本代表コーチで、数多くのメダリストを育ててきた井村雅代さん(73)の講演会が26日、伊仙町の「徳之島交流ひろばほーらい館」であった。約250人が聴講。井村さんは「人生を切り拓(ひら)く力」と題し、コーチの心構えや選手の育成について50年の経験で導き出した持論を語った。講演会は28日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)でもある。
井村さんは大阪府出身。シンクロナイズドスイミングの選手を経て1974年に指導者に転身した。78年に日本代表コーチに就任し、9大会連続でのメダル獲得を成し遂げた。中国、イギリスの代表コーチに招かれるなど、世界的にも活躍している。
講演会は伊仙町の主催。井村さんは「10回オリンピックに行きメダルも取ったが常に後悔があった」と話し、「だからこそ次はどんな指導をすべきかと前に進めた。悔しさは次へのエネルギーになる。成功は忘れても悔しさは絶対に忘れないで」と失敗をばねに挑み続ける大切さを語った。
聴講した徳之島町の作山香菜子さん(36)は「世界的な名コーチの話が直接聞けて貴重な経験になった。子育てに役立つ助言も多く勉強になった」と笑顔。娘のほのさん(亀津小4年)は「バレーの試合でミスして悔しかったが、しばらくすると忘れていた。きょう井村さんから教えてもらったことを大切にして練習に励みたい」と話した。
井村さんの徳之島訪問は初めて。交流のあったタレントのリリアンさん(故人)から来島を勧められていたという。井村さんは「ようやく約束を果たせた」と話し、「リリアンが話していた通り素晴らしい島。アマミノクロウサギの観察や闘牛観戦も楽しみ」と笑顔を見せた。
井村さんの講演に先立ち、講演会の協賛企業である島津製作所(京都市)の横田明善環境経営統括室長が生物多様性をテーマに講演。科学技術で社会に貢献する企業理念の観点から環境保全の大切さを伝えた。