優良子牛増頭へ鹿大と連携 受精卵センターが落成 徳之島町

2018年05月19日

社会・経済 

生産者の所得向上や畜産振興を目的に整備、落成した徳之島町受精卵センター=18日、徳之島町徳和瀬

生産者の所得向上や畜産振興を目的に整備、落成した徳之島町受精卵センター=18日、徳之島町徳和瀬

 徳之島町が徳和瀬地区に整備した町受精卵センターの落成式が18日あった。優良子牛の増頭を目的にした施設で、鹿児島大学共同獣医学部と連携して優良母牛から採卵した受精卵の販売、移植などを行う。混合飼料の生産施設・徳之島町TMRセンターを運営する㈱きらめきサポート想が管理運営する。

 

 センターは木造平屋、延べ床面積255・69平方㍍。総事業費は約4700万円。顕微鏡など機械設備のほか、採卵室や受精卵の凍結室、検卵室を整備した。

 

 落成式には町当局や畜産関係者など約60人が出席。高岡秀規町長と宮本篤・鹿大共同獣医学部長による包括連携協定書署名式もあった。

 

 高岡町長は「受精卵センターの整備により、安価で血統を維持できると期待している。課題となるのは受精卵採卵などの技術面。鹿大と連携することで、畜産振興に結び付くと信じている」とあいさつ。町肉用牛振興会の森英路会長は「センターを活用していい子牛を増やそう」と呼び掛けた。

 

 町によると、生産牛は年間1頭の子牛しか出産できないが、受精卵は1頭当たり8~10個が採卵可能。センターの稼働で、短期間で良血統の受精卵確保が期待される。センターでは地元獣医師などとともに鹿大の指導者や学生が採卵作業を実施する。学生が農家の声を聞き取り、互いの技術向上や交流も図る計画だ。

 

 採卵は6月に始まる。県や民間が保有する優良血統の雄牛と人工授精させた町内の優良母牛6頭から受精卵を確保する。年間約600個の生産を見込んでいる。移植は1回8万円で、希望者の牛舎で行う。