厳しい現状浮き彫りに 物価高、人手不足が深刻 奄美市中小企業振興会議

2024年02月20日

社会・経済 

各団体から現状の課題報告があった奄美市中小企業振興会議=19日、同市名瀬

奄美市中小企業振興会議(会長・有村修一奄美大島商工会議所会頭、委員18人)は19日、同市名瀬のAiAiひろばで会合を開いた。①アフターコロナ、原油物価高の現状と課題②人手不足―をテーマに意見交換。各業界から厳しい運営状況や人材の確保、育成を懸念する報告が相次いだ。行政の支援策に対し「周知は十分か」との指摘が上がった一方「行政頼りにならず、将来を見据えた視点も大切だ」との提言も。有村会長は「民間と行政が協力し市の活性化につなげていきたい」と語った。

 

振興会議は市中小企業振興条例に基づき設置され、委員は商工、建設、観光、情報、酒造、福祉などの業界団体や市、県で組織。新型コロナウイルスの影響で、2020年11月以来の会合となった。

 

奄美群島振興開発基金が取引先に今年1月実施したアンケートでは「コロナ拡大前と現状を比較した業況はどうか」の問いに回答した群島内48社のうち「悪い」が25%、「横ばい」が35%、「回復中」または「良い」が40%で、新型コロナの影響からは回復傾向との結果だった。

 

感染症対策として進んだリモート化や大和村に開業予定の新施設への期待が挙げられた一方、各業界からは▽LCC(格安航空会社)期間運航による交流人口の減少▽原材料、燃料費、維持費などの高騰▽人手不足―の報告が続き「70代の介護ヘルパーが同世代の患者のケアをする状況」「原材料は高騰しているが、(課題解決を図るよりも)現状に甘んじ価格に反映せず個々の負担としている」との現状が伝えられた。

 

意見交換では、繁忙期が異なる地域の仕事を組み合わせて働き手を派遣する「奄美市しまワーク協同組合」への質疑があったほか、行政の支援制度に対し「周知は十分に行き届いているのか。現状を分析し有効な情報発信、展開を図ってほしい」との要望があった。