同時流行、影響じわり 市販薬品薄、入荷は不安定 コロナとインフル

2023年01月18日

社会・経済 

市販薬の商品棚を整理する薬局スタッフ=16日、奄美市名瀬

新型コロナウイルスやインフルエンザの流行に伴い、国内外で医薬品の需要が高まる中、奄美でも市販薬が一部品薄になるなど影響が出ている。奄美市内の薬局やドラッグストアによると、店頭で買い占めが起きているわけではなく、入荷先からの供給減が大きな要因。メーカーの品質不正問題や近隣国での新型コロナ感染拡大など背景は複雑で、安定的な入荷が見通せない状況だという。

 

■感染急拡大

 

国内では新型コロナ感染拡大「第8波」が続いている。県内の新規感染者数は昨秋から増え、今月5日には5209人と過去最多を更新。奄美医療圏(奄美12市町村)も今年すでに2千人以上の感染を確認した。「爆発的感染」とされた昨年1月を上回る勢いだ。

 

インフルエンザもコロナ禍以前の19年以来3期ぶりに流行している。特に名瀬保健所管内で患者が急増しているとして、県は今月12日に注意報を発令。群島全域で増加傾向にあり、警戒感が高まっている。

 

県は新型コロナ・インフルエンザ同時流行への対応として、体調確認や衛生管理、各種ワクチン接種などを啓発。医療機関の負担軽減を念頭に、抗原検査キットや解熱鎮痛剤などを各自購入し、自宅療養に備えるよう呼び掛けている。

 

■解熱剤やかぜ薬欠品

 

16日、奄美市名瀬のドラッグストア各店では解熱鎮痛剤や総合かぜ薬などの品薄、欠品が目立っていた。一方、店側によると、現在のところ地元住民らがまとめ買いする様子は見られない。法規制対象品以外の購入数制限もない。

 

主に品薄気味なのは、大手製薬会社の製品を中心にせき・のどの痛みを抑える薬やトローチ、スプレー、発熱に対処する解熱鎮痛剤など。店舗によっては免疫力を高める栄養ドリンク剤や漢方薬、冷却シートなどの商品棚も空きが目立った。

 

ある店舗スタッフは「人気の商品は発注しても長く入荷できていない。客には同じ成分が入った別の商品を紹介している」と説明。別店舗の薬剤師は「薬は対症療法。体調維持には免疫力を高める製品の積極活用も有効」と助言した。

 

■買い急がず、相談を

 

「各商品まだ在庫はあるが、市販のかぜ薬などが入荷しにくくなっているのは確か」。処方薬や市販薬などを幅広く取り扱う同市名瀬の薬局店長は「慢性的な医薬品の供給不足に急激な感染拡大が重なっている。要因が複合的で先が見通せない」と懸念を示す。

 

2020年以降、ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーによる品質不正などが相次ぎ、不安定な供給状況が続いている。さらに現在、近隣国などでも新型コロナ感染拡大が進み、外国人が日本で医薬品を大量購入し母国に送る状況も生じているとみられている。

 

国内外で急増する医薬品需要の余波として、奄美でも市販薬などの販売状況に影響が出始めているが、商品によっては在庫が十分な場合もある。買い急がずに各店の薬剤師などへ相談し、症状や体質、状況に合った購入量を心掛けたい。