奄美に大学を創ったら?! 中高生がディベート実践 琉球大学プロジェクト 奄美市
2023年01月09日
社会・経済
奄美大島に大学をつくる可能性について地域の中高生が討論するディベート・ディスカッション企画「もし、奄美に大学を創ったら」が8日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。琉球大学農学部4年の久保駿太郎さん(23)=大島高校卒=ら琉大生3人でつくるプロジェクトチーム「島に大学ちくいぶさ」の主催。参加者は大学設置について賛否両方のチームに分かれ、課題や可能性を探った。
「島に大学ちくいぶさ」は、琉球大学地域連携推進機構が支援する学生の地域課題解決プロジェクトの採択チーム。若者の人口流出など奄美の地域課題の解決策を考える上で、大学設置のメリットやデメリットについて多面的に検討するのが目的。大学進学を考える中高生と一緒に考えようと催され、意見に偏りが出ないようディベート形式を採用した。
参加したのは大島高生2人と金久中生3人、小宿中生3人、大川中生1人の計9人。奄美の大学設置に肯定派と否定派の2チームに分かれ、討論した。
肯定派は▽進学にお金が掛からないですむ▽若者の人口が増え地域活性化につながる▽奄美の情報発信の機会が増え、観光客も増える│などの利点を発表。
一方、否定派は▽大学設置には多大な費用がかかる▽大学施設建設は自然破壊につながる▽流入人口が増えることは治安の悪化につながる│などの課題を指摘した。
双方は「大学設置には先行投資も重要」「環境学部を創り、自然保護研究を推進する」(肯定派)、「奄美に設置しなくても奄美の研究活動はできる」「そもそも少子高齢化で子どもがいない」(否定派)などと主張し、それぞれの視点から意見を交わした。
参加した小宿中3年の西彰紀さん(15)は「奄美について深く考える機会になった。奄美に大学があれば奄美で通いたい」と話し、金久中3年の山田みやびさん(15)は「ディベートは新鮮な体験。将来は学校の先生になりたいので、奄美に教育学部のある大学があったらいいと思う」と感想を述べた。
久保さんは「大学設置というと知識人だけが考える問題と思い、思考を停止してしまう人々は多い。こういう機会を通してみんなに自分事として考えてもらうきっかけにしてほしい」と話している。