心に27度線はいらない つなぐ未来に期待 沖縄復帰年生まれの前泊さん
2022年04月29日
社会・経済

「心の27度線を取っ払ってほしい」と期待を込める前泊さん=28日、沖縄県国頭村
沖縄県が日本に復帰した1972年に生まれた「復帰っ子」でつくる沖縄県復帰っ子連絡協議会代表の前泊美紀さん(50)。復帰40周年の10年前は与論島から国頭村辺戸岬のかがり火を見た。かつての国境の向こう側から沖縄を見ることで、「奄美から手を差し伸べられて沖縄の復帰が実現したのだ」と胸が熱くなったという。
50周年の今年は、辺戸岬から与論島の火を見た。目の前で燃えさかる沖縄の炎と、地平線でまたたく与論のかがり火はとても明るく、復帰にかけてきた双方の思いの強さが表れていた。
点灯に先だって行われた記念式典では、両町村の子どもたちが「お互いのことを知って、平和のともしびをつないでいこう」と宣言した。戦争がなければ分断もなかった。その歴史を理解し、真の平和をともにつくるという誓いの言葉に希望を感じた。
沖縄の人たちには、奄美も戦後は米施政権下にあり、本土復帰したことを知らない人も多い。「実際の海上には線など引かれていない。心の27度線を取り払ってほしい」と、前泊さん自身、復帰っ子として奄美・沖縄の復帰の歴史を学び、語り継いでいく活動を続けてきた。
子どもたちがその活動をつないでくれると確信している。
(沖縄・佐久本薫通信員)