武力攻撃で島外避難想定 21日に屋久島で実動訓練 内閣官房と県
2024年01月19日
社会・経済
内閣官房と県は18日、他国からの武力攻撃を想定した「国民保護共同訓練」の図上訓練を鹿児島市の県庁で実施した。屋久島町の全住民約1万1700人を、避難開始から2日間で県本土と熊本県へ島外避難させる想定。屋久島、口永良部島からの避難経路や輸送手段、必要日数などを確認した。21日には屋久島、口永良部島の両島で関係機関や福祉施設職員らが参加する実動訓練を行う。
訓練は2023年度の国重点訓練として内閣官房と鹿児島、熊本両県が合同で実施。オンライン含め約20機関の関係者が参加した。
想定では、武力攻撃の可能性について国から県が情報提供を受け、調整を開始。政府が入域自粛を呼び掛け、輸送体制を整えた。その後、政府は「武力攻撃予測事態」を認定。屋久島町が要避難地域に指定され、屋久島、口永良部島の全住民に島外避難の必要性があるとされた。
県は対策本部を設置し、関係機関と住民の避難方法を共有した。自力避難が難しく、避難時に補助を要する「要配慮者」の想定は約330人。「フェリー波之上」などの専用便で移動し県内の病院などで受け入れる。屋久島から県への輸送力は平時で1日に約3000人。高速船や航空機の臨時便、県防災ヘリなどの協力を加え調整後は1日で約6900人の輸送が可能だとして、避難開始から2日で避難を完了すると算出した。
屋久島町からは「避難先における集落ごとのコミュニティ維持」に対する要望もあり、避難先は同町の小学校区単位で分け、県内4市で約8500人、熊本県で約3200人を受け入れるとした。
21日には県庁に対策本部を設置し、屋久島、口永良部島の両島で実動訓練を行う。当初は屋久島町の住民参加を予定していたが、昨年11月末の米軍輸送機オスプレイ墜落事故を受け、同町の準備が間に合わないことから、住民参加は見送られた。