海と奄美の「知」が結集 研究と教育、地域の融合探る 東大大気海洋研シンポ

2023年11月04日

社会・経済 

研究者や民間企業、教育関係者らによる発表があった東京大学大気海洋研究所のシンポジウム=3日、奄美市名瀬

東京大学大気海洋研究所(千葉県柏市)主催のシンポジウム「奄美群島における総合知の探求~環境、文化、教育の融合~」が3日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で始まった。同大などの研究者が最新の研究成果を発表。奄美群島の民間企業、教育関係者らも大学や研究機関、行政、企業が連携し事業創出などを目指す「産官学連携」の取り組みを報告した。オンライン含め約80人が参加。海や奄美に関わる研究や事業を多方向の視点で捉えながら、総合的な科学と地域社会の融合と発展を探った。

 

同研究所は「亜熱帯・KUROSHIOプロジェクト」として2022年7月に瀬戸内町須手地区の同大学医科学研究所内に拠点を設け、気候変動などの調査を本格化。同年12月にはキックオフシンポジウムなども開催した。

 

シンポジウムは5部構成で、3日は4部までを実施。1~3部では考古・民俗学や地球科学、生物学の各分野からの知見や最新の研究成果が示され、奄美大島で見つかった生物が新種である可能性なども報告された。

 

九州大学浅海底フロンティア研究センターの菅浩伸センター長は、大気海洋研究所との合同チームで22年8月に着手した大島海峡の海底地形探査の進展状況を報告。調査データから得られた3Dモデルの海底地図を示し、地質、生物、考古学など多分野研究へ展開していくことが、防災など社会貢献へつながるとの期待を示した。

 

4部では安田壮平奄美市長も登壇。同市の現状や方向性を伝えながら、産官学連携の取り組みを紹介した。

 

最終日の4日は「市民科学が切り開く総合知の新展開」をテーマに基調講演などを実施予定。大気海洋研究所主催の夏季集中サイエンスキャンプに参加した与論高校の生徒らの発表もある。また同研究所の横山祐典教授らによる普及講演会も行われる。