大学院生の視点で提言 世界自然遺産の魅力を発表 上智大が研修報告会 宇検村

2022年11月07日

社会・経済 

研修報告を行う上智大学大学院地球環境学研究科の学生=5日、宇検村

世界自然遺産価値の保全と持続可能な観光モデルの構築に向け、宇検村で1日から現地研修を行っていた上智大学大学院地球環境学研究科(織朱實教授)の学生12人は最終日の5日、同村役場で報告会を開いた。学生は住民や行政関係者らを前に、4日間のフィールド調査で得た村の魅力や可能性、課題などについて発表した。

 

同研修は、今年1月に上智大学などを運営する学校法人上智学院(東京都千代田区、佐久間勤理事長)と日本航空(JAL、東京都品川区、赤坂祐二社長)が連携協定を締結したことによる共同研究の一環。地域住民との交流を通し、奄美の「環境文化」への理解を深め、観光促進による持続可能な地域活性化の糸口を探るのが狙い。

 

学生らは3班に分かれ「宇検村を育む環境と文化」「宇検村におけるエコツーリズム」「自然―世界自然遺産と動植物保護」の切り口から報告。いずれの班も村の魅力に、人の温かさ、豊かな自然、生物の多様性を挙げ、課題には▽人流増加による環境劣化▽盗掘や密猟、ロードキル被害▽自然保護と経済発展の矛盾―などが並んだ。

 

学生は報告の中で、地域課題への取り組みについては「村民の希望を守ること」が最優先との見解を示し、織教授は「今回の研修報告をさらに精査し、JALと連携を図りながら世界自然遺産を活用した提言、方策を宇検村に向けて打ち出していきたい」と述べた。