大島海峡で海底地形調査 東大大気海洋研、九大の合同チーム

2022年08月18日

社会・経済 

調査船に機材を設置する合同チームのメンバーら=17日、瀬戸内町古仁屋

東京大学大気海洋研究所と九州大学の合同チームは17日、瀬戸内町の大島海峡で海底地形の調査に着手した。調査船に搭載した音響画像装置で海底の起伏を測定し、データを精査して海底地形図を作成する。地形図を使って、海洋生態系の把握や、高波など気象災害の予測技術の高精度化につなげる。同研究所の横山祐典教授は「地球温暖化が進む中、世界遺産になった自然豊かな奄美をベースラインに、海の変化を捉えていきたい」と述べた。

 

東大大気海洋研究所は7月、瀬戸内町須手の同大医科学研究所の施設内に設けられた研究拠点で、気候変動に関する調査を本格化した。温暖化に伴う日本の亜熱帯化を見据えて、岩手の研究拠点や研究所本部(千葉県柏市)とも連携して、奄美の調査を基に、激甚化する気象災害を予測する数値モデルの構築を進める。

 

合同チームのメンバーらは同日、瀬戸内町の古仁屋港で調査船に機材を設置。船は同町の漁業・祷泰司さん(80)が所有する「海燕丸」を借り上げた。今月末にかけて、海峡内の5~6カ所のポイントを航行して調査を進める。収集したデータを基に、今年度末に海底地形図が完成する見込み。

 

調査に参加した九州大学大学院の三納正美准教授は、海底地形図を使った潜水調査への展開を来年度の目標に掲げる。「詳細な海底地形を捉えることで、踏み込んだ調査ができるとさまざまな分野の人が注目している。まだ見つかっていない地形や、多様な生物のポイントが見えてくる可能性があるし、沈船などの戦争遺跡が出てくるかもしれない」と期待を示した。