被災地で医療支援、活動報告 大島病院チームも現地中継で 鹿児島若手救急医の会

2024年01月25日

社会・経済 

DMATに参加した医師らが現地での経験を共有した報告会=23日

石川県で発生した能登半島地震に伴い、災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として現地で活動した医師らによる報告会が23日、オンラインで開かれた。鹿児島若手救急医の会「救急郷中会」(渋谷謙一代表)が主催。活動内容や現地の状況・課題などを共有した。奄美市名瀬の県立大島病院から22日に出発したチームのメンバーらが現地から中継し、現状を伝える場面もあった。

 

救急郷中会は、県出身や県内で勤務する若手救急医など医療従事者らによる団体。月1~2回の研修や勉強会を実施し、地域の救急医療の発展とともに人材育成に取り組んでいる。

 

厚生労働省によると、DMATは大規模災害などの際に活動する専門的な訓練を受けた医療チームで、医師、看護師、業務調整員で構成される。

 

報告会には、県内の医療福祉関係者など約80人がリモートで参加。このうち約30人が奄美の参加者だった。鳥取県立中央病院の萩原尊礼医師と日本医科大学千葉北総病院の川上翔平医師がDMATでの経験を語った。

 

萩原医師は現地の活動拠点本部で情報収集や関係各所との連絡、自治体への活動引き継ぎ業務などを担当。入院患者らの搬送支援にも携わった。活動を振り返り「時間経過や状況でニーズが変化するため、俯瞰(ふかん)的に状況把握し適切な支援を検討することが必要になる」と話した。

 

川上医師は航空運用調整班のドクターヘリ調整部に配属。自衛隊など他機関と連携し、ヘリの飛行計画の調整や搬送指示などを行った。「現場からどのようにニーズを引き出すか考えた」「被災地の医療従事者の負担をできるだけ減らすよう意識した」などと振り返った。

 

待機中の車内から中継し現地の状況を伝える県立大島病院の石畠彩華医師(右)=23日(提供写真)

25日までDMATの活動に従事する県立大島病院の石畠彩華医師は、派遣地で待機中の車内から中継。「到着後に福祉施設の利用者の入浴介助を行った。避難所のニーズ調査は残り10%ほどで終わるらしい。(災害フェーズが)急性期から慢性期へと移行しているようだ」と現状を伝えた。

 

同会代表で名瀬保健所の渋谷医師(36)は「多くの若手がDMATに参加しており、今後の災害でも主戦力となる。5月には奄美市で県総合防災訓練が行われるため、報告会での学びを生かしたい」と語った。