高齢者、乳幼児らの入院増 奄美大島感染症対策会議

2022年08月19日

社会・経済 

新型コロナ感染の高止まりの状況を受けて開かれた、奄美大島感染症対策本部会議=18日、奄美市役所

奄美大島5市町村の首長らでつくる奄美大島新型コロナウイルス感染症対策本部会議は、島内での新型コロナ感染急拡大を受けて18日、奄美市役所を主会場にオンライン会議を開いた。出席した医療機関からの報告を基に、島内の医療提供体制の逼迫(ひっぱく)状況について情報共有。後期高齢者や基礎疾患のある人、乳幼児らの入院が増えているとし、そうした重症化リスクの高い人と接する際の感染予防への配慮を、強く呼び掛けていくことなど申し合わせた。

 

現在流行しているオミクロン株の派生型「BA.5」は重症化リスクは低いとされる半面、感染力が高く、島内でもかつてないほど感染者が増えている。

 

同会議事務局の奄美市健康増進課によると、島内では6月までは10歳未満と10代、さらにその親世代への感染が中心だった。しかし7月中旬以降は家族経由により高齢者層にも感染が広がっている。

 

医療機関の現状として、発熱外来の受診者が急増し、受診を断ったり、受診のための予約電話もつながらないケースが生じている。また一般の疾患の検査や治療の予定が延期になったり、入院が必要な人の入院調整にも時間がかかっているという。

 

会議ではこのほか、▽重症化リスクの高い後期高齢者や、透析中の人など基礎疾患を持った人の入院増▽乳幼児が感染し、高熱での脱水や、熱性けいれん、他疾患との合併などによる入院増▽在宅の高齢者が介護を受けながら自宅で療養し、家族や介護施設の負担も増している―といった医療提供体制の状況について情報共有した。

 

医療関係者から「(抗原検査は)症状が発症した当日に検査を受けると疑陰性の可能性が高まる。発熱があっても、食事・水分補給ができていれば24時間以上経過してから検査受診するよう心掛けてほしい」といった意見があった。不足も懸念される検査キットの節約や、医療機関の負担軽減に向け、住民にも周知、協力を求めていく。

 

会議後、同課の徳永明子課長は「医療関係者の方々は、島民の命を守るという強い使命のもと、尽力いただいている。医療提供体制を守ることが結果として島民の命を守ることにつながる。行政としてもできることを協力してやっていきたい」と述べた。

同会議は島独自に定めた「新型コロナ警戒レベル」を8月3日から最大の「5」に引き上げており、しばらく維持される見通し。