【群島リポート】「蒸し暑い」「例年以上」 熱中症疑われる救急増加 梅雨明け「真夏日」続く

2022年06月26日

自然・気象

晴天の下、観光客らが詰め掛けた海岸=25日午前10時すぎ、龍郷町赤尾木

「蒸し暑い」「例年以上に(暑さを)感じる」│。奄美地方の梅雨明けが発表された22日以降、群島各地で最高気温30度以上の「真夏日」が相次いでいる。これに伴い、熱中症が疑われる救急搬送が増加。今後も熱中症リスクの高い天候が続くとみられ、警戒と対策が必要だ。梅雨明け初の週末となった25日午前、奄美大島北部を巡り、屋外で過ごす人々に話を聞いた。 (西谷卓巳)

 

■酷暑の週末、各地の様子

 

干上がった岩礁にできる潮だまり「ハートロック」で知られる龍郷町赤尾木の海岸には、観光客らが訪れていた。前日に来島した関西の40代夫婦は「空港ビルから出た瞬間、もわっとした蒸し暑さを感じた。本土とは全然違う」と口をそろえた。

 

奄美市笠利町須野のあやまる岬観光公園には、親子連れの姿がちらほら。3歳の息子と日陰にいた30代母親は「体がまだ暑さに慣れていない」と苦笑い。遊びたがる息子を横目に「日差しが強く、遊具も熱くなっている。早めに切り上げたい」と語った。

 

サトウキビ畑が広がる同町宇宿の県道沿いで、妻とともに帰り支度をしていた農家の70代男性は「昼間は避けて、朝と夕方に作業する。マスクも外したいが、農薬を使うので着けないといけない。できるだけ多めに休憩時間を取っている」と汗を拭った。

 

同町里のスーパーで飲み物やアイスなどを買った60代女性は「娘家族が遊びに来るというので」と笑顔。「いつもは電気代節約のため扇風機で過ごしているが、暑いと孫たちがかわいそうなので、きょうは朝からクーラーを使っている」と続けた。

 

近くの赤木名中学校校庭には、テントやパラソルを立て、休憩しながら部活動に取り組む生徒らの姿。期末試験が終わり、前日から練習を再開したソフトテニス部の30代女性顧問は「きのうは自分を含む何人かが熱中症っぽくなってしまった。今年の梅雨明けは特に暑さを感じる」と話した。

 

■熱中症搬送、群島で18人

 

気象庁によると、奄美市名瀬では22日33・7度、24日34・3度と今年の最高気温を更新。奄美群島各地で最高気温30度以上を相次ぎ観測している。気象庁と環境省が「危険な暑さ」を呼び掛ける「熱中症警戒アラート」も21日に発表されて以来、25日まで解除されていない。

 

県の集計(各日午後4時現在)によると、6月1日以降、群島内で熱中症疑いの救急搬送者累計は、21日時点の5人から24日までに18人へ急増。管轄する消防機関ごとの内訳は▽大島地区7人▽徳之島地区10人▽沖永良部与論1人―となっている。

 

環境省などによると、熱中症は高温多湿で風の弱い環境に適応できず、体内に熱が溜まった状態。肥満や持病、体調不良などでリスクが高まり、若者は屋外、高齢者は屋内で発症するケースが目立つという。予防には▽涼しい服装▽日陰の利用▽水分・塩分補給―などが有効とされる。

 

さらに環境省と厚生労働省は今月、新型コロナウイルス感染予防も踏まえ「屋外ではマスクを外そう」とする案内を公開。人と2㍍離れている前提で「特に運動時は外そう」「散歩やランニング、通勤・通学時も着用する必要はない」などと呼び掛けている。

 

気象庁によると、26日からの1週間、奄美地方は高気圧に覆われて晴れる日が多く、気温は平年並みか平年より高い予想となっている。