ザトウ クジラ  奄美大島への来遊、過去最多

2022年04月14日

自然・気象

ザトウクジラの親子=3月1日、奄美大島沖(興克樹さん撮影)

奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は10日、冬から春にかけて奄美大島近海に来遊するザトウクジラの2022年シーズンの調査結果(3月31日現在)をまとめた。出現確認数は前季(1097頭)の約1・6倍に上る1750頭。加盟13事業者によるホエールウオッチングは4961人が参加し、ともに過去最多を記録した。

 

調査は同協会の加盟事業者などが海上と陸上でクジラの出現状況を確認した。今季は21年12月7日に龍郷町芦徳沖で初確認。1月中旬から出現が多くなり、2月中旬から3月上旬にかけて来遊のピークを迎えた。最も多かったのは3月3日の51頭。

 

ホエールウオッチングの参加者は、新型コロナウイルスの影響で減少した前季(2895人)の約1・7倍に達した。そのうち海に入って泳ぎながらクジラを観察するホエールスイムは2872人で、全体の57・9%を占めた。

 

調査を本格化した14年以降、クジラの出現確認数は増加傾向が続いている。今季は母子を含む群れの数が158組と前季の1・5倍に上り、過去最多だった。

 

興会長は「奄美大島沿岸で滞留する母子は年々増えていて、今年生まれた赤ちゃんもかなり見られた。島影になる穏やかな海域は子育てしやすいのではないか」と分析。参加者が増加しているホエールウオッチングについて、「隻数制限などルールの厳格化を検討している。クジラへの影響を最小限にとどめて、持続的な利用を続けたい」と話した。

 

ザトウクジラは体長12~14㍍、体重30㌧にもなる大型のヒゲクジラ。頭部のこぶ状の突起と長い胸びれが特徴。夏場はロシアやアラスカなどの冷たい海で餌を食べ、冬季に繁殖や子育てのため、国内では沖縄や小笠原などの暖かい海域へ移る。