地域連携、学びの発展に期待 奄美研究拠点の展望探る 東大大気海洋研 奄美市でキックオフシンポ
2022年12月03日
自然・気象
東京大学大気海洋研究所が奄美大島に設置した研究拠点の展望を探るキックオフシンポジウムが2日、奄美市名瀬の市民交流センターであった。オンラインも含め関係者約130人が参加。奄美に関わる研究者や地元の行政、民間企業、教育関係者らが幅広い分野の研究内容や人材育成の取り組みなどを発表し、地域と連携した学びの発展に期待を寄せた。
研究拠点は瀬戸内町の東大医科学研究所奄美病害動物研究施設内に設置され、今年7月に活動を本格化。気候変動に関する調査とともに、地元高校の教育支援にも取り組んでいる。
開会あいさつで大気海洋研究所の河村知彦所長は、「亜熱帯の研究を活発化して、(温暖化による)日本全体の亜熱帯化に備えて基盤を築きたい」と拠点設置の意義を説明し、「地域の皆さんと連携した活動にも力を入れる。さまざまな分野の方と奄美で一緒に活動する意識を共有したい」と述べた。
シンポジウムは4部構成。第1部は奄美に拠点がある同大と鹿児島大が研究内容を紹介。第2部は自然科学や文化など各分野の研究発表があった。第3部は教育に関する発表があり、大気海洋研究所が進める人材育成プロジェクト「海と希望の学校in奄美」について紹介。今年夏に同研究所主催のサイエンスキャンプに参加した与論高校の生徒らの発表もあった。
第4部では、奄美群島の市町村長らが温室効果ガスの排出削減や、身近な海を活用した地域活性化、環境教育、サンゴ礁保全などさまざまな取り組みを紹介。安田壮平奄美市長は大気海洋研の拠点設置に「産官学の連携拠点となり、世界中から研究者を招き、地域に新たな研究成果と人の流れを生み出してくれる」と期待を示した。
同研究所の横山祐典教授は「奄美で活動する他大学の研究者と手を携えながら、地元の教育機関、行政、民間の方々と一緒に奄美を盛り上げていく活動に参加したい」と語った。