海岸に大量「今までない」 奄美大島で漂着確認相次ぐ 毒クラゲ「カツオノカンムリ」
2023年04月12日
自然・気象
強い毒を持つクラゲの一種「カツオノカンムリ」の海岸への漂着確認が奄美大島の広範囲にわたっている。6日までに漂着が確認された瀬戸内町や奄美市の名瀬、同市住用町に加え、7日以降は同市笠利町や宇検村、大和村でも相次いで確認されている。各地で大量に打ち上がっており、住民からの情報などを基に調査を進める各自治体の担当者らは「今までにない状況」と口をそろえる。引き続き警戒が必要だ。
カツオノカンムリは透き通った青色で楕円(だえん)形をしており、三角形の透明な帆のような部位で風を受けて海面付近を漂う。刺されると腫れや痛みを引き起こす。普段は浅瀬にいないが、潮の流れや風向き次第で沿岸にまとまって打ち上がることがある。
県大島支庁や各自治体、地域住民らの話を集約すると、11日現在、奄美大島は5市町村すべてで漂着に関する情報がある。同支庁は同日までに管理する複数の海岸に注意を呼び掛ける看板を設置し、各自治体もインターネット交流サイト(SNS)などで周知している。
先週末あたり(8日ごろ)から漂着が確認されているのは主に宇検村と大和村。宇検村は西側の焼内湾口付近で目撃情報があり、外海に面する船越海岸では漂着ごみに混在した状態で見つかった。漁業関係者からは近くの海上にも漂っていると情報が寄せられている。
大和村は西端の今里から大棚にかけて広範囲で漂着情報があり、8日以降、役場が現地調査を順次実施。戸円のヒエン浜は波打ち際に沿って大量に漂着しており、このほか漁港内に流れ込んでいる地域もある。村産業振興課の担当者は「こんなに大量に漂着した記憶は今までにない」と驚いた様子で話した。
これまでに漂着の情報がない村東側の大和浜から国直についても状況に応じて調査を進める方針。同担当者は「西から漂着範囲が広がっている印象で、まだ漂着確認が続くことも考えられる。海水浴や素潜り漁で被害に遭う危険性があり、情報共有に努めたい」とした。
6日までに名瀬、住用で漂着を確認していた奄美市は、マリンレジャー利用が活発な笠利でも7日に現地調査を実施。東海岸側の笠利から用安にかけて複数地点で漂着を確認した。市笠利総合支所農林水産課の担当者は「これまで情報が入らなかっただけかもしれないが、(大量漂着は)初めて経験した」と話した。
このほか瀬戸内町では3月中旬から大島海峡沿岸を中心に漂着が確認されている。龍郷町農林水産課によると、同町では11日現在、漂着に関する情報は入っていない。一方、東海岸の手広付近では地域住民が砂浜への漂着を目撃している。