アマミノクロウサギ施設 多機能型へ計画着々 大和村

アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)の建設予定地=3日、大和村思勝

 世界自然遺産に登録された奄美大島で、「アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)」の設置計画が進んでいる。交通事故などでけがをした国の特別天然記念物アマミノクロウサギを保護し、治療と十分なリハビリを行う施設として大和村が同村思勝に整備する。村は来場者向けのクロウサギに特化した展示を充実させるほか、農林水産物や集落での体験メニューといった観光情報の発信機能も備えた多機能型施設を目指しており、2024年度の運用開始を見込む。

 

 村企画観光課の計画によると、施設は鉄筋コンクリート平屋建てで、延べ床面積は681平方㍍。展示エリアは284平方㍍確保し、クロウサギの生態を含む基本情報ほか、マングースやノネコ対策、大和小中学校での飼育事例(1963~90年)などを紹介する。また、ロードキル(交通事故死)や農作物の食害が発生している現状も示し、クロウサギと人が共存する社会づくりに向け、課題を提起する内容も展示に盛り込む。

 

 施設内では、クロウサギが暮らす自然環境を再現した放し飼い場(屋外展示施設)をガラス越しに観察できるほか、夜行性のクロウサギの活動を昼間でも観察できるよう、昼夜逆転の環境下とする屋内の生体展示室も設ける。

 

 来場者は地元の小中学生や地域住民、世界自然遺産登録効果で増加が見込まれる観光客など幅広く想定。レクチャールーム・会議室を利用した出前講座やワークショップの開催も計画している。

 

 アマミノクロウサギの施設整備を巡っては、村が2017年度から研究者や獣医師ら有識者でつくる検討委員会で協議を本格化させ、20年度に基本計画を策定。総事業費は約5億円で奄振交付金を活用する。

 

 施設の設置場所は、環境省奄美野生生物保護センター近くの「まほろば水と森公園」(村有地)の一角。同センターや高倉群の群倉(ぼれぐら)など周辺施設と関連付けた回遊ルートの確立も視野に入れながら整備を進める。

 

 同課の担当者は「観察できる個体がいない場合もあるため、魅力的な展示を考えていく必要がある。ただの観察小屋ではなく、来て見て学び、自分にできることを考え、行動に移してもらえるような施設にしたい」と話した。