台風24号、空き家問題浮き彫り

2018年10月08日

自然・気象

台風24号の強風で損壊した空き家=7日、知名町

台風24号の強風で損壊した空き家=7日、知名町

 沖永良部島では台風24号による被害発生から約1週間が経過し、住民生活は落ち着きを取り戻しつつある。今回の台風では住家の損壊が相次いだ。島民からは「近くの空き家(空き店舗)から物が飛んできた」「壊れた空き家を放置しておくと次の台風も怖い」といった声が多く聞かれ、過疎化とともに地域で増える管理不全な空き家の問題が改めて浮き彫りになった。

 

 台風24号は9月29日から30日にかけて奄美群島全域を暴風域に巻き込み北上していった。沖永良部島での住家被害(6日午後3時現在、県まとめ)は和泊町が半壊12棟、一部損壊72棟、知名町が半壊5棟、一部損壊92棟。強風で屋根のトタンなどが飛ばされる被害があったのに加え、空き家などから物が飛散して住家が損壊したケースも少なくない。

 

 近くの空き家からガラス片やトタンなどが自宅敷地に飛んできたという知名町の70代女性は「家主は島外にいるので台風が来ても雨戸も閉められていない。敷地に入ってきたがれきの処分はこっちがしないといけない」と不満を口にした。

 

 同町内で所有する空き家の屋根が壊れたという70代男性は「仏壇など物が置いてあり自分だけでは決められない。(解体費を出す)余裕もそんなにない」と話した。

 

 知名町区長会の木脇茂盛会長(69)は「台風前になると、『近所の空き家が心配』といった声は毎回聞こえてくる。10日の区長会で今回の台風による建物被害の具体的な状況も確認し、(気付いた課題は)町と協力しながら検討していければ」と語った。

 

 知名町は2013年に空き家等の適正管理に関する条例を制定。15年の調査で管理不全な空き家として45棟を把握したが、件数の把握だけにとどまっているのが現状。同町は今後、「空家等対策計画」を策定し、実効性のある空き家対策を進めていく方針。和泊町はすでに計画を策定している。

 

 空家等対策計画 2015年施行の空き家対策特別措置法に基づく。市町村が対策計画を策定し、管理不全で倒壊の危険がある空き家を「特定空き家」に指定。所有者に修理や撤去の勧告などを出し、従わない場合は強制撤去も可能になった。18年3月末現在、同計画策定済み自治体は県内で23市町村(55・3%)。奄美群島では和泊町と天城町のみ。