ウミガメ産卵、過去最少 イノシシ食害件数減少 海洋生物研23年調査 奄美大島
2023年11月09日
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は8日、奄美大島のウミガメの上陸・産卵に関する2023年の調査結果をまとめ、発表した。産卵回数は前年比65・2%の260回(前年399回)で、調査を開始した12年以降では19年の293回を下回り過去最少。同研究会は「数年置きに産卵するウ
ミガメ類の生息数の増減は中長期的な分析が必要で、継続した調査が求められる」としている。
調査は産卵期の4~9月に実施。ウミガメの上陸回数は360回。種類別ではアオウミガメ211回、アカウミガメ50回、不明99回。産卵回数はアカウミガメ46回(前年96回)のほか、アオウミガメ157回(同274回)、不明57回(同29回)となった。
アカウミガメの産卵回数は13年の663回をピークに減少傾向が続いており、今年は過去最少だった21年(59回)を下回った。同研究会は産卵回数の減少について、餌場の東シナ海で漁業活動に伴う混獲や餌資源の減少による影響の可能性があると懸念を示し、「今後の産卵回数の推移を注視する必要がある」と指摘した。
リュウキュウイノシシによるウミガメの卵の食害は40件で、前年(50件)より減少した。一方、全産卵巣に占める食害割合は15・4%と、前年(12・5%)より2・9ポイント上昇した。地区別で多かったのは瀬戸内町与路島のアシニ地区16件、請島のケラジ地区8件など。
同研究会は「高齢化・過疎化などに伴ってリュウキュウイノシシが人間を警戒することなく砂浜に侵入しやすい環境となった地域が増え、捕食行動が恒常化するようになった」と分析。また「採食が恒常化した浜では産卵個体群の減少も懸念される」として、保護対策の検討を求めた。