来年度に根絶か判断 マングース防除大詰めに 奄美大島

2023年02月11日

② 根絶の確認に向けた取り組みについて協議した検討会=10日、奄美市名瀬

奄美大島のマングース防除事業検討会(座長・石井信夫東京女子大学名誉教授)が10日、奄美市名瀬の市民交流センターであった。マングースの捕獲は約5年にわたってゼロの状態が続く。2023年度はこれまでのモニタリング調査などのデータを分析し、科学的な評価に基づいて根絶した可能性が高いと判断できれば、年明けに開く検討会で「根絶宣言」を行う方針。駆除の本格化から20年以上続くマングース対策は大詰めを迎える。

 

検討会には委員と関係者らオンラインも含め約40人が出席した。22年度の事業報告(12月末現在)によると、マングースの捕獲は18年4月以降はなく、探索犬や島内全域に設置した自動撮影カメラによるモニタリング調査でも痕跡は確認されなかった。

 

住民から5件の目撃情報が寄せられ、自動撮影カメラや探索犬による調査を行ったが、マングースの生息は確認できなかった。

 

奄美大島で捕獲されたマングース

 

マングースの防除が進んだことで、在来生物の生息状況は回復傾向が続き、特にアマミトゲネズミやアマミヤマシギ、オオトラツグミ、ルリカケスは前年度より大幅に増加した。

 

今年度中に捕獲用のわなや探索犬、自動撮影カメラによるモニタリング調査で収集したデータと、これまでの捕獲実績などの情報に基づいて、根絶した確率を算出する数理モデルが完成する見通し。

 

23年度は前年度までのデータを基に、根絶した確率を秋ごろに算出し、委員と環境省などの関係者でつくる作業部会で目撃情報なども踏まえて根絶したかどうかを検討する。来年1~2月ごろに検討会を開いて評価結果を報告する。

 

環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「(マングースが)確認できていない期間が長いほど、根絶の可能性は高くなる」と感触を示し、「まずはモニタリングデータをていねいに蓄積していく。(根絶)宣言をしても再侵入することがある。対策を考えていく」と述べた。

 

奄美大島のマングースは1979年にハブやネズミの駆除を目的に放され、急速に分布域を拡大。アマミノクロウサギなどを襲って生態系に深刻な影響を及ぼした。環境省は2000年に駆除に着手し、捕獲総数は約3万2千匹。防除が進んで生息数は次第に低下していった。