アマミヤマシギ保護へ、クラウドファンディング 目標300万円、調査拡充に 奄美野鳥の会・日本鳥類保護連盟

2022年05月13日

アマミヤマシギ

NPO法人奄美野鳥の会(鳥飼久裕会長)と日本鳥類保護連盟(東京都、小宮輝之会長)は10日から、奄美と沖縄に生息する絶滅の恐れのある野鳥アマミヤマシギを調査するため、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を行っている。謎の多い生態を把握し、保護につなげる。鳥飼会長は「皆さんの力を借りて、遺伝的な多様性や(島間の)移動について調べたい」と話し、協力を呼び掛けている。

 

クラウドファンディングへの協力を呼び掛ける鳥飼会長(左)、藤井室長(中央)

アマミヤマシギは奄美大島、徳之島、沖縄島などに生息する固有のシギ類。体長約35㌢。ずんぐりした体形でくちばしが長いのが特徴。森林開発などで減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類。種の保存法の国内希少野生動植物種に指定して保護している。

 

日本鳥類保護連盟は奄美野鳥の会と共同で2021年度から、サントリー世界愛鳥基金の助成を受けて、アマミヤマシギと奄美大島だけに生息するオーストンオオアカゲラの調査を実施。分布状況や発信機を装着させて行動圏などを調べている。

 

CFはアマミヤマシギの調査の拡充が目的。野鳥の会によると、アマミヤマシギは奄美大島や徳之島などで繁殖しているが、沖縄島では繁殖が確認されておらず、島間をどのように移動しているのか分かっていない。鳥飼会長は「(沖縄島北部の)やんばるで毎年冬に少数が見られるが、どこで産まれたのかを知りたい」と話す。

 

同連盟調査研究室の藤井幹室長は「世界で奄美群島周辺にしかいない。種が途絶えないように保全しないといけないが、守るための情報が少ない。奄美の身近で貴重な鳥を次の世代に受け継ぐために協力してほしい」と呼び掛けた。

 

CFの目標金額は300万円。発信機などの購入や通信費、DNA解析、人件費などに充てる。一口3千円~30万円。寄付者には口数に応じて活動報告レポートやポストカード、羽根のアクセサリーなどの返礼品を贈る。期間は6月30日まで。問い合わせは電話03(5378)5691日本鳥類保護連盟へ。