「環境文化」への認識深める=龍郷町でシンポ
2018年01月29日
芸能・文化
人と自然の関わりが育んだ暮らしの文化「環境文化」について考えるシンポジウム(鹿児島大学鹿児島環境学研究会主催)が28日、龍郷町の秋名コミュニティーセンターであった。同町秋名・幾里両集落の住民らが伝統のアラセツ行事や稲作、食文化の継承の取り組みを紹介。集落を散策して山や海と深く関わる昔ながらの暮らしに理解を深めた。
シンポジウムは「生態系管理型」「環境文化型」の従来にない2本柱を掲げた奄美群島国立公園が昨年3月に誕生したことを機に、集落が公園区域となった住民らとともに奄美の環境文化への認識を深める目的で開催。集落内外から約70人が来場した。
プログラムは3部構成。第1部は島内外の事例紹介があり、世界自然遺産の先進地・屋久島で地元住民が集落の歴史や暮らしを案内する「里のエコツアー」や、奄美市住用町の農家体験民宿、県立大島北高校の生徒らがお年寄りに地域の伝統行事や生活文化を聞く「聞き書きサークル」などの報告があった。
第2部は秋名・幾里両集落の住民らが報告。秋名集落区長の隈元巳子さん(63)はお年寄りの見守り活動や民芸品づくりを通した世代間交流を紹介し、「『結い』のある集落であり続けたい」と述べた。
秋名集落の山田眞砂子さん(76)は地場産食材を使った加工品づくりについて、稲作について紹介した幾里集落の國山教子さん(78)は「秋名の文化は米づくりが大事。若い人にも知ってもらいたい」と訴えた。アラセツ行事の保存会長の窪田圭喜さん(77)は集落散策のコースづくりなど観光客の受け入れ体制の強化を呼び掛けた。
第3部では参加者らが2班に分かれて、田袋やアラセツ行事の「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」の祭場などを巡る集落の散策を楽しんだ。
シンポジウムに参加した秋名集落の山田ヤヱ子さん(74)は「自然の恵みがありがたいシマ(集落)だと思って嫁いで来た。末代まで守っていけたらいいですね」と話した。