大和村で長田須磨シンポ おいの見目正克氏来島 奄美古来の織物実演も
2022年11月06日
芸能・文化
大和村出身の女性民俗学者・長田須磨の功績から奄美の文化などについて考ええる「第1回長田須磨シンポジウム」(奄美文化継承プロジェクト主催)が5日、同村思勝の村防災センターであった。おいの見目(けんもく)正克氏(奈良女子大学名誉教授)、近畿大学文芸学部芸術学科の関口千佳教授が来島し、奄美群島の染め織物などについて講話。長田の著書に記述がある奄美の昔の織物で、幅の狭い帯を織り上げる「ウルィグシ織」の実演もあった。
長田須磨(1902~1998年)は48歳で柳田國男主宰の女性民俗研究会に参加、研究の道へ。古里の大和村大和浜の言葉や風習をまとめた「奄美方言分類辞典」(上下巻)を刊行し第4回風土研究賞を受賞するなど、奄美の民俗研究と継承に尽くした。
初めに、見目氏が長田の生い立ちや功績を語った。関口教授は長田の著書などを基に、奄美群島でかつて作られていたさまざまな織物を紹介。
織物の文化を下地に大島紬が発展した一方で、織物が商品として売買されるようになったことから「女性が家族や恋人へ布や帯を贈るという文化が無くなり、併せて大島紬以外の織物が廃れていったのではないか」などと分析した。
川崎市立日本民家園民技会の岡本亜希子氏によるウルィグシ織の実演があったほか、伊集院幼大和村長が義母から贈られたという手織りの帯を持参し、来場者は興味深そうに手に取ったり、写真に収めたりしていた。
シンポジウムには82人が参加。ウェブ配信もあり、59人が視聴した。見目氏は今後も年に1度のペースで奄美の文化について考えるシンポジウムを実施するという。