奄美群島文化財保護対策協が総会 徳之島町

2022年06月22日

芸能・文化

群島内の担当者ら約50人が情報共有を図った研修会=21日、徳之島町亀津

奄美群島文化財保護対策連絡協議会(四本延宏会長)の2022年度総会と研修会が21日、徳之島町生涯学習センターで開かれた。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催。群島内11市町村の担当者など約50人が参加し、講話や事例発表、意見交換などを通して文化財の保存・継承に向け情報を共有した。

 

事例発表では徳之島町史で各集落の海岸の地名について調査した町文化財保護審議員の重久勇さんが登壇。花徳地区の「クランシャ」と呼ばれる海岸について「クランシャは〝蔵の下〟の意味。花徳の古い地図で砂糖蔵があったことが記されており、海岸の名前で詳しい場所が判明した」と意外な発見があったことを報告し、「方言で残る地名は貴重な情報を含んでいることが多いが、高齢化が進み覚えている人も残りわずか。調査を急ぐ必要がある」と述べた。

 

講話では県文化財課の横手浩二郎主任文化財主事兼埋蔵文化財係長が「県文化財保護行政の概要について」と題して、県の施策を報告したほか、文化財指定のための手続きや注意点などを説明した。

 

徳之島町文化財保護審議員を務める池村茂さんは「久しぶりに群島内のメンバーがそろい、世界自然遺産登録後の新たなスタートとして有意義な会合になった」と話し、「徳之島での調査は道半ばでまだ眠っている文化財も数多い。しっかり情報共有して保護につなげたい」と語った。

 

表彰式では亀津浜踊りの保存と継承に取り組む「亀津浜踊り保存会」のほか、保護審議会委員を長年勤めた菊秀史さん、大田榮一さん(ともに与論町)へ表彰状が贈られた。

 

同協議会は奄美群島の文化財の保護と活用や地域の文化活動の向上発展を目的とし、各市町村教育委員会や関連機関の職員、学識経験者で組織する。総会では22年度の予算案や事業計画案のほか、副会長を泉和子さん(奄美市文化財保護審議会長)とする人事案を承認した。

 

22日は、徳之島町畦、山地区などにある文化財候補地で現地視察を行う。