世界に一つの印鑑作り 大高書道部

2022年05月12日

子ども・教育

書家の濱野龍峰さん(右)からアドバイスを受ける大高書道部の部員たち=8日、奄美市笠利町

奄美市名瀬の県立大島高校書道部(木村文音顧問)の2、3年生16人は8日、県奄美パーク・田中一村記念美術館(奄美市笠利町)で、書道作品に押す落成鑑識(落款)印作りに挑戦した。部員たちは書家の濱野龍峰さん(61)から指導を受け、自分の名前が刻まれた世界に一つだけの印鑑を作り上げた。

 

濱野さんは福井県出身、愛知県在住で、ヨーロッパやラテンアメリカなど世界各地で書を広める活動を続けている。同美術館で書展「平和への想い~書と歌による次世代へ語り継ぐ歴史の継承」(4月16日~5月15日)を開催中。

 

落款印作りは、4月17日にあった書展のオープニングイベントに同校書道部が参加したことをきっかけに、熱心な部員たちの姿に心打たれた濱野さんから指導の申し出があり実現した。

 

落款印は書道や絵画などの作品が完成した時、作者がその証明として押す印鑑。部員たちは自分の名前を紙にデザインした後、反転させて石に転写し、印刀と呼ばれる彫刻刀を使って慎重に線を彫り進めた。

 

濱野さんは「(落款印)は一生使えるもの。10年、20年後にどんな道を進んでも、10代の今の気持ちを忘れず、思いを込めて文字を刻むという経験を作品に生かしてほしい」と話した。

 

部員たちはこれまで誰も自分の落款印は持っておらず、作品展に出展する際は学校の印鑑を使っていたという。3年生で部長の上野凛さん(17)は「より一層作品に対する思い入れが強くなる。使うのが楽しみ」と笑顔で話した。