「行かない役所」可能性探る オンライン窓口の実証実験 奄美市

2022年08月19日

政治・行政

参加した奄美市民(上)と市役所職員がテレビ電話でやり取りしたNTTデータ「オンライン窓口サービス」の実証実験=18日、同市役所

 自治体が地域住民のパソコンやスマートフォン(スマホ)、タブレット端末から遠隔で相談を受け付ける「オンライン窓口サービス」の実証実験が18日、奄美市役所であった。NTTデータ(本社・東京都江東区)が開発中のメールとテレビ電話を組み合わせたサービスを利用した取り組み。実験ではモニターとして参加した市民と市役所職員が画面越しの対面でやり取りして「行かなくていい市役所」を検証し、その実現可能性を探った。

 

情報通信技術(ICT)の発展に伴い、行政手続きや各種相談のオンライン化が求められる中、同社は自治体向けオンライン窓口サービスの開発を進めている。実証実験は5月にスタートし、実施自治体は奄美市が国内で4カ所目。市民ら13人と市役所職員らが参加した。

 

サービスの手順は▽利用者がインターネット上で予約▽自治体が専用URLをメールで通知▽利用者がURLからテレビ電話にアクセスしオンライン相談│の3段階。実験は会議室内で市役所職員がパソコン、市民が同室外で持参したスマホやタブレット端末を使い、遠隔でやり取りした。

仕事や妊娠・育児、介護、病気などで来庁が難しい市民や、市内に住む親族の代理で手続きを行う遠方(島外)在住者などの利用を想定したサービス。実験では消費生活や法律、納税、介護認定、移住など幅広い分野の相談を実践し、利用上の有効性や課題を検証した。

 

同市名瀬の女性(75)は、骨折で入院しているとの設定で実験に参加。テレビ電話で市の担当者と会話し、面談や身体動作確認による介護認定調査を受けた。「意外と簡単にできた。市役所に来なくても市職員と顔を合わせてやり取りできるのはいい」と振り返った。

 

市デジタル戦略係の田川正盛係長は「複雑な操作もなく、使いやすいサービスだと感じた。実証実験を基に今後の方向性を検討したい」と話した。

 

同社ソーシャルデザイン推進室の町山亮介課長代理は「『場所にとらわれない』というテーマは、コロナ下という状況や離島という環境に有用。より使いやすいサービスを目指したい」と語った。