奄振予算213億円要求 前年度当初比7%増

2023年08月25日

政治・行政

    国土交通省は24日、2024年度予算案の奄美群島振興開発関係概算要求額(同省一括計上分)を発表した。公共、非公共を合わせた総額は23年度当初比7%増の213億6800万円で、地元自治体の裁量で使うことができる奄美群島振興交付金は20%増の28億4800万円を計上した。ともに世界自然遺産登録された沖縄との連携強化を視野に、農林水産物輸送コスト支援事業と航路航空路運賃軽減事業の対象範囲に沖縄を追加するなど、既存事業の拡充を盛り込んだ。

 

公共事業の要求額は23年度当初比5%増の185億1200万円。治山では瀬戸内町、喜界町、知名町で風潮害防止のために防潮堤工事や植栽などの事業費を計上した。治水は大和ダムの水質測定設備の更新、奄美市住用町の川内川などの砂防えん堤補修予算を要望した。

 

港湾では名瀬港、和泊港で岸壁、防波堤の整備を継続。空港は奄美空港、徳之島空港、与論空港で無線施設の整備のほか、奄美群島内各空港のRESA(滑走路端安全区域)を整備する。道路環境は和泊町、与論町で県道無電柱化を継続し、通学路の安全対策として、龍郷町で交差点改良を進める。

 

水道廃棄物処理では、瀬戸内町、宇検村、天城町で簡易水道事業を計上。喜界町での一般廃棄物最終処分場整備も盛り込んだ。

農林水産基盤整備では、喜界島、沖永良部島の地下ダム整備を継続する。古仁屋漁港(瀬戸内町)や知名漁港などで漁港や漁場整備を進め、漁港施設の機能強化や水産物の安定供給を図る。

 

社会資本総合整備(交付金)では、自治体が管理する道路や港湾などの整備、防災、安全対策に関する要望額を計上した。

 

非公共事業の奄振交付金では、農林水産物輸送コスト支援事業の対象品目に「畜産」を追加。群島内で肥育した牛や経産牛を島外のと畜場へ輸送する費用や加工した精肉の出荷費用などを支援する。これまで鹿児島本土までに限定していた各品目の輸送コスト支援の移出先に沖縄も加える。

 

奄美群島住民を対象とし、県内各路線で実施していた航路・航空路運賃軽減事業に沖縄路線を追加。農林水産業の振興では、台風接近時など定期船が欠航した際の堆肥の安定供給対策として、家畜排せつ物の堆肥舎整備を盛り込んだ。

 

雇用拡充や人材育成、交流人口の拡大など、奄美群島成長戦略の実現に向けた支援として①関係人口の拡大、移住の促進②教育、文化の振興③奄美群島の特性に応じた製造業の振興―を拡充する。

 

奄美群島振興開発特別措置法は23年度末で期限切れを迎える。国交省国土政策局は「法改正を見据えた予算要求。各事業の進捗(しんちょく)状況や地元の要望等を踏まえて所要額を計上した」としている。