群島の課題、住民ら訴え 22年度改訂へ地域懇談会 県「地域振興の取組方針」 奄美市名瀬の大島支庁

2022年07月13日

政治・行政

県が2022年度改訂する「地域振興の取組方針」について意見を聴取した第1回奄美地域懇談会=12日、奄美市名瀬の県大島支庁

県が2021年度改訂した「かごしま未来創造ビジョン」に基づいて22年度改訂する「地域振興の取組方針」について、県民の意見を聴取する第1回奄美地域懇談会が12日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。各分野の地域課題に精通する委員16人が意見を出し合い、奄美群島の現状について情報共有。多業種の人材不足や離島の経済的不利性、自然環境の保護保全に意見が集中したほか、結婚や出産など子育て世代に対する広域的支援の必要性を訴える声もあった。

 

かごしま未来創造ビジョンは、県がおおむね10年の中長期的観点で目指すべき姿や施策展開の方向性を示すもの。17年度に策定後、新型コロナウイルス感染拡大やSDGs(持続可能な開発目標)推進といった社会情勢の変化を受け、21年度に改訂した。

 

地域振興の取組方針は、同ビジョンに基づいて地域ごとの課題や施策の方向性を示すもの。同ビジョンも奄美・離島の振興として▽世界自然遺産保全と持続可能な観光推進▽交通ネットワーク形成-を施策の柱としており、取組方針はその補完的な内容を目指す。

 

奄美地域懇談会は代理を含む委員15人が出席、ほか1人の意見を代読。議事に先立ち、座長の新川康枝大島支庁長は「中長期的な方針を決める上でさまざまな視点の意見が欠かせない」とあいさつし、活発な意見交換を求めた。

 

第1次産業や商工団体関係者らが訴えたのは、少子高齢化に伴う生産人口(15~64歳)の減少。このほか「産業廃棄物を本土で処分するための輸送コストの負担が重い」「名瀬以外の各港は定期船入港が不安定」など離島ならではの苦悩に関する意見も相次いだ。

 

世界自然遺産の保全については「観光客は金作原やマングローブに集中する。より明確な保護の仕組みが必要」などと指摘。また若い産婦の声として「喜界島と与論島には産院がなく、妊婦は島外に出て出産する。自治体単位の支援では不十分」との意見もあった。

 

県側は今回聴取した内容を取りまとめ、10月ごろに開く第2回地域懇談会で再度意見交換した後、取組方針の改訂案を作成する。