人材不足が大きな課題 鹿児島県観光立県推進会議 奄美は訪日客対応に遅れ

2023年08月29日

政治・行政

県内の観光動向を把握し意見を交わす観光立県推進会議委員たち=28日、県庁

【鹿児島総局】2023年度鹿児島県観光立県推進会議(中原國男会長、委員20人)が28日、県庁であった。県の第3期観光振興基本方針(20~24年度)に基づき中間報告書案を県側が説明。出席した17人の委員が意見を交わした。新型コロナウイルス禍以前ほどに宿泊者数が戻ってきている一方、受け入れる観光従事者の人材不足が大きな課題となっていることなどが指摘された。

 

県は▽奄美・徳之島の世界自然遺産登録(21年7月)▽霧島神宮の国宝指定(22年2月)▽和牛日本一を獲得(同10月)―と明るい話題も続き、22年度の延べ宿泊者数はコロナ禍前の19年度比で7割まで回復。観光客の満足度の指標となる再訪希望者の割合も91%まで高まったと報告した。

 

一方、鹿児島空港で航空機の誘導などを担うグランドハンドリングの人手不足の課題もあり、国際線定期便の再開が進んでいないとの報告もあった。

 

出席委員からは「旅館の調理人も、布団を敷くパート人材も不足し予約をストップした」「タクシー不足が常態化してしまい、サービスの質が低下している」「働き手にとって魅力のある仕事であることが大切だ」などと深刻な状況が報告された。

 

世界自然遺産に登録された奄美大島の状況についても「奄美で調査すると『宿泊は日本人だけでいい』など訪日客の受け入れが整備できていない。意識の醸成が必要」「世界遺産に登録されている屋久島とのアクセスをもっと良くするべき」などの意見が出された。

 

県は委員の意見も踏まえて中間報告書をとりまとめ、県議会9月定例会に報告する。