体験交え復帰当時語る 石神京子さんが講演 奄美図書館

2023年10月08日

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奄美群島の日本復帰運動の様子などを紹介した石神京子さん=7日、奄美市名瀬

県立奄美図書館の2023年度生涯学習講座第5回「あまみならでは学舎」が7日、奄美市名瀬の同図書館であった。旧名瀬市地域婦人団体連絡協議会元会長の石神京子さん(85)が講演し、奄美群島日本復帰運動当時の奄美の状況や、復帰運動のリーダー泉芳朗の功績について、自身の体験を交えて紹介した。

 

石神さんは大和村名音出身で、奄美群島が日本復帰を果たした1953年は15歳、旧大島女子高校1年生だった。

 

講演では、自身が見た島民の運動の様子を写真や資料を使って解説。旧名瀬市の高千穂神社であった集会や復帰を目指して行った署名活動、泉が子どもたちを集めて日の丸を見せている写真などを紹介したほか、復帰当日に名瀬小学校の校舎で旧大島女子高校の生徒が「朝はあけたり」を4番まで暗記して歌ったことも話した。

 

53年6月にルーズベルト元米大統領の妻に日本復帰の思いを直訴した基八重奄美大島婦人連合会長の功績にも触れ、「終戦後、島の女性たちは方言しか話せず、女性には学問はいらないという風潮があった時代に、東京の女学校を出た基さんがいてよかった」と回顧。

 

群島民の99・8%が署名したとされる復帰の署名活動については「米軍政府に務めていた人は参加できなかったと聞いている」と話し、「署名簿を見る機会があれば親や祖父母、自分の集落の人たちの名前を探してみて」と呼び掛けた。

 

総合的な学習の時間で復帰について調べ学習をしているという大島高校2年生の川元幸音さん(16)は「当時の写真を見る機会が少なかったので貴重な機会」、川路愛佳さん(17)は「復帰当時の映像も見てみたい」、根本ひなこさん(16)は「写真に映る人々の服装が洋服で親近感が湧いた」とそれぞれ話した。