時短延長、飲食店「今回で最後に」 奄美大島、関連業者には行政不信も
2022年02月20日
地域
新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が2週間延長されたことを受け、県は18日、県内全市町村の飲食店への営業時間短縮要請期間を3月6日まで継続することを決めた。他地域に先駆けて、1月11日から時短要請が続いている奄美大島では、1カ月以上休業している店も。店主らからは「(延長は)今回で最後に」と切実な声が聞かれた。運転代行業などの関連事業者も試練が続いている。
第三者認証店以外は酒類の提供も禁止され、時短要請期間中は休業する飲食店が少なくない。奄美市名瀬の繁華街・屋仁川通りで郷土料理店「吟亭」を経営する松山美枝子さん(74)は「コロナの感染拡大で東京、大阪からの団体客がキャンセルとなり、1月6日から休業している。今年に入って開けたのは2日間だけ。まん延防止等重点措置が終われば再開する予定だったが、感染が収まっていない現状では仕方ない」と期間延長に理解を示しつつ、「県の協力金などがあるが、家賃や光熱費など経費を払うと残らない。とにかく今度こそコロナを抑え込んでほしい」と語った。
屋仁川の飲食店で構成する奄美市社交飲食業組合の伊東隆吉理事長(71)は「協力金があるとはいえ、店の規模や形態によって、時短要請による負担の度合はさまざま。(飲食)業界では『先が見えない不安』を抱えている人が大変多い。組合でも国の事業復活支援金などの制度に関する情報共有も図りながら、コロナ禍を乗り越えようと踏ん張っている。春に向け、そろそろ明るい兆しが見えてほしい」と話した。
飲食店と「一蓮托生(いちれんたくしょう)」とも言える運転代行業も苦慮している。奄美市で運転代行業を営む川畑忠文さん(66)は「飲食店での酒を禁止するのは、私たちからすれば、行政から営業妨害を受けている気分。飲食店に協力金を出すなら、運転代行業にも補償がないと不公平」と指摘する。
昨年は同業者と共に奄美市にコロナ禍の支援を要望したが、「こちらが声を上げない限り行政は何も気付かず、対応もしないのだろうか。誰が考えたって運転代行業が今大変なのは分かるよね。ずっと我慢して、また時短要請期間が延長になって。公務員は痛くも、かゆくもないだろうが、こっちは大変なんてもんじゃない。行政には不信感ばかり」と続けた。
屋仁川の飲食店に酒類を卸している販売店の店主(50代)は開口一番に「今すぐ総理大臣は辞任して」と語り、「新型コロナに対し、間の抜けた対応ばかりで国民を見ていない。今回も、なぜ飲食店や酒ばかり標的になるのか。オミクロン株がまん延してからは飲食店以外の場所でも大勢感染しているのに納得いかない。関連業は協力金もなく、『閉店しろ』ってことか」と語気を強めた。