油状漂着物、9市町村で確認
2018年02月06日
地域
奄美群島各地の海岸で黒い油のような漂着物が見つかった問題で5日、関係機関の防除協議会が奄美市であった。県大島支庁は「廃棄物の受け入れ態勢などが整うまで民間での回収は自粛してほしい」と呼び掛けている。一方、既に回収を始めた住民からは「行政の対応が遅い」という声も上がっている。
大島支庁の調査によると、漂着物の範囲は同日までに奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島の9市町村で確認されている。今後も風の状況などで拡大が予想されるという。5日午後0時現在、群島各漁協に被害の情報は入っていない。
奄美海保は▽処理費用算出のために回収前後の状況を記録する必要がある▽漂着物を踏むと浜や道路の2次汚染が予想される―などとして、海岸へ立ち入らないよう呼び掛けが必要だと提言した。
一方、早くも住民らによる回収作業が行われている海岸もある。奄美市の浜辺で漂着物を集めていた女性は「目の前にあるのに放置しておけない。善意の気持ちだったが、行政主導でやるなら早く住民に知らせてほしい」と戸惑っていた。
大島支庁は今後行政による試験的な回収を進め、作業手順を確立した上で各自治体や民間とともに対応に当たる。担当者は「早期解決のため受け入れ先や容器の確保などを急いでいる。住民の皆さんにはもう少しだけ待ってほしい」と話した。
政府は2日、奄美大島の沿岸で油状漂着物を確認し、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。漂着物は奄美大島沖で1月に沈没したパナマ船籍のタンカーから流出した燃料油の可能性があることから情報収集を進めている。