スタンドからナイン後押し 三塁側埋めた奄美関係者ら

2022年07月25日

社会・経済 

3塁側スタンドを埋めた大島の応援団。9回裏、2点を奪った場面でこの日一番の盛り上がりを見せた=24日、鹿児島市の平和リース球場

全国高校野球選手権鹿児島大会の決勝が行われた24日、鹿児島市の平和リース球場には大島ナインを後押しする大応援団が訪れ、三塁側スタンドを「奄美色」に染めた。「感動をありがとう」│。試合には惜しくも敗れたが、最後まで懸命にプレーした選手たちを観衆が温かい拍手でたたえた。

 

球場には大島、鹿児島実業両校の関係者だけでなく、高校野球ファンらが多数詰め掛け、午前8時半の開場を前に長蛇の列ができた。観客は内野席に収まらず、外野席にあふれるほどだった。

 

大島高校野球部保護者会の西田哲会長(50)は「正直悔しい」と涙を拭いながらも「持ち前の粘り強さを発揮し、最後に見せ場を作ってくれた。一人ひとりが諦めずに戦ってくれて選手たちには感謝しかない。新たなスタートを切る後輩たちには『島からでも甲子園に行ける』という信念を貫き通してほしい」と激励した。

 

前チームの主将を務めた安田秀太郎さん(19)=日置市=も各地から集まった同級生OB6人と観戦。春の甲子園出場や今大会の快挙をたたえ「大高野球部の歴史を塗り替えてくれたことを誇りに思う。最後まで粘り強く戦う姿はかっこよかった」と語った。

 

昨年の4月に偶然観戦した大島の試合で一目ぼれして以降、試合の度に応援に駆け付けているという松崎聡美さん=霧島市=は選手や関係者らから「鹿児島の母」の愛称で親しまれている。「選手間の心温まるやりとりや選手たちの笑顔が大好き。きょうはもう少し時間があれば、と思ったが得点につながり立派だった。次の世代以降もずっと応援していきます」と話す目からは涙が止まらなかった。

 

大島高校野球部甲子園出場実行委員会の事務局委員富田桃子さん(38)=奄美市名瀬=は「島を長期間離れてコンディションを保つのも大変だったはず。力を出し切ってくれて、たくさんの人に感動を与えてくれてありがとう」と選手らをねぎらった。

 

大高出身の青堀純さん(47)=鹿児島市=は「感謝の気持ちでいっぱい。『島でも希望が持てる』と、後に続く子どもたちが増えてくれたらうれしい」と話し、奄美市名瀬から応援に駆け付けた大高野球部OBの山下一さん(42)は「最高のプレーだった。もう一度挑戦して県大会で優勝し、夏の甲子園を目指してほしい」と力を込めた。

 

2014年と今年の選抜大会で大島の試合を甲子園で観戦したという奄美市名瀬出身の水間英樹さん(74)=神奈川県=は、長女の井上真帆さん(30)と日帰りで観戦に訪れた。水間さんは「選抜を経験して自信が付き、確実に強くなっていた。最後にスットゴレ精神を見せてくれたのが何よりうれしかった」と笑顔を見せ、井上さんも「これからも大島を応援し続ける」と今後の活躍に期待した。