交通、運送「経費重い」 燃料価格、上昇止まらず 行政支援拡充求める声も 奄美大島

2023年08月18日

社会・経済 

車が行き交う名瀬市街地の国道。ユーザーへの負担がのしかかる=17日、奄美市

原油価格の上昇や円安などを背景に、レギュラーガソリンの全国平均小売価格の値上げが止まらない。経済産業省が16日発表したレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格(14日時点)は、前週調査から1円60銭高い181・9円で、13週連続の値上がり。奄美大島では14日からガソリン店頭価格が平均190円を超え、軽油や灯油価格もガソリン同様に上昇。地域交通や運送を担う業者からは「経費が重い。自社努力は限界」と悲鳴が上がる。

 

16日の発表によると、レギュラーガソリン価格は45都道府県で上昇。鹿児島県は前週比で2円高い187・8円だった。

 

レギュラーガソリンの高騰は国の補助率の引き下げも影響。毎月1回小売価格を改定する県石油商業組合大島支部では、石油元売り大手3社が系列の特約店に卸販売する「元売仕切価格」が先月から1カ月間で8円上がったことを受けて今月14日、奄美大島内主要小売店の平均店頭価格を前月比8円増の税込み191・7円(1リットル当たり)に引き上げた。軽油は180・9円、灯油も147・3円とそれぞれ先月比で8円ずつ上がった。

 

同支部の川上利治支部長(大豊石油統括部長)は「燃料代の値上がりは、さまざまな分野でコスト上昇につながる」と懸念。9月末のレギュラーガソリン補助制度終了が迫る中、国から新たな支援策は示されておらず「早急に手を打ってほしい」と訴えた。

 

陸上運送や港内荷役などを行う里見海運産業(本社奄美市名瀬)の担当者は「燃料費上昇は着実に経営を圧迫している」と厳しい表情。トラックやフォークリフトなど約30台分の軽油使用量は月平均1万5千リットルほど。燃料関連の支出は徐々に上がり続け、7月は250万円を超えた。

 

対策として、トラックの荷役中のエンジン停止や、消耗品の交換費用が高い大型フォークリフトの使用控えなどでコスト削減。担当者は「配送料に転嫁すれば商品の販売価格が上がり、消費者の負担が増す。苦しいが、とにかく我慢するしかない」と話した。

 

同島で路線バスやタクシー事業を展開するしまバス(本社同)の勝村克彦社長代理は「バスもタクシーも『料金改定やむなし』と言える状況。燃料費に限らず、物価高騰でさまざまな経費が上がっている。自社努力は限界」と頭を抱える。

 

バス、タクシーの料金改定は地域の公共交通機能維持にも関わる重要な問題であり、関係者は厳しい判断を迫られそうだ。