設立経緯や課題を共有 奄美市でシンポジウム 特定地域づくり事業協同組合

2024年01月19日

社会・経済 

特定地域づくり事業協同組合をテーマに奄美群島内外の関係者が情報や意見を交わしたシンポジウム=18日、奄美市名瀬

地域で安定した雇用の創出を目指す「特定地域づくり事業協同組合」をテーマとしたシンポジウムが18日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。奄美群島内外4組合の各役員が事例紹介やパネルディスカッションなどを行い、それぞれ組合設立に至った経緯や運営上の課題を共有。離島地域の人手不足解消へ盛んに情報や意見を交わした。

 

特定地域づくり事業協同組合は2020年6月に制度化。主に若者や移住者らを正職員として雇用し、各事業者の需要に応じて働き手を派遣する役割を担う。23年12月末現在、認定を受けている組合数は全国94、県内7(うち奄美群島内4)となっている。

 

シンポジウムは県中小企業団体中央会が主催し、3回目。行政担当者による講話や事例紹介を行い、制度周知と組合設立促進を図っている。今回はオンライン併用で群島内外の各組合関係者や事業者、行政職員ら約100人が参加した。

 

この日は同制度を所管する総務省自治行政局地域振興室課長補佐、熊坂仁志氏が制度の概要を解説。事例紹介ではヨロンまちづくり協同組合、奄美市しまワーク協同組合、みなみたね地域創生協同組合(南種子町)の各役員が登壇した。

 

ヨロンまちづくり協同組合は22年4月設立。川畑力理事長は幅広い年代、経歴の派遣人材や協力的な町の支援体制などを示しつつ「住宅不足や低い給与水準が課題。環境整備と交流促進で派遣人材の定住を後押ししたい」と述べた。

 

奄美市しまワーク協同組合は23年5月設立。長瀬悠事務局長は若くして社会経験も十分な即戦力人材を採用した成果、住宅が足りない課題の両面を説明した上で「離島生活の実情を踏まえて移住を考えてもらいたい。丁寧な情報提供を心掛けている」と話した。

 

みなみたね地域創生協同組合は22年12月設立。日髙孝之事務局長は西之表市・馬毛島の自衛隊基地建設に伴う(賃貸)住宅不足などを念頭に「採用環境は厳しく、派遣人材は2人という現状。安定した事業運営を図りたい」とした。

 

パネルディスカッションは講演会と事例紹介で登壇した4人にえらぶ島づくり事業協同組合の金城真幸事務局長も加わり「成功の秘訣」を議論。事業運営に欠かせない官民連携、理解を広げる情報発信の在り方などについて話し合った。

 

19日は視察研修があり、関係者で奄美市内の農園や観光施設を訪問する。