長引くコロナ禍 現場から 観光施設 「変化に対応していく」
2022年02月13日
社会・経済
「今が一番悪いかも。昨年10月から12月前半は良かったのだが…」。そう語るのは龍郷町瀬留にある総合観光施設「浜千鳥館」の支配人、田中佐一郎さん(68)。この2年間、新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)され続けている。
同館は1984(昭和59)年に開館。和食、洋食、中華が楽しめるレストランに加え、奄美黒糖焼酎や本場奄美大島紬の小物、菓子類など300~400点をそろえた土産品コーナーも併設している。同じマルエーグループの奄美大島酒造も隣接し、工場見学とセットとなった観光が売りだ。
新型コロナ対策は、可能な限り取ってきた。レストランは100席を60席にまで減らし、テーブル席にアクリル板を設置。手指消毒や体温測定、二酸化炭素探知機も導入し換気にも十分気を配っている。対策が一定の基準を満たしている店舗に与えられる県の第三者認証も取得済みだ。
勤務しているのはパートを含め8人。田中さんは「毎朝の検温や体調に異常がある場合の報告に加え、不要不急な用事で島外へ出掛けることなどもできるだけ控えるよう求めている」と説明する。
感染状況によって売り上げは浮き沈みを繰り返し、現在も新型コロナの変異株「オミクロン株」による感染拡大の第6波が深刻な影響を及ぼしている。団体客のキャンセルが相次いだことで「1月の売り上げは約8割減、2月はさらに落ち込むかもしれない」(田中さん)という。
今後しばらくは厳しい状況が予想される。田中さんは「今は島内の需要が頼みとなる。行政には希望の光が見えるような効果的な支援策をお願いしたい」と要望した。
先を見据えた取り組みも始めている。第1弾となったのは、昨年夏に福岡の旅行会社と企画した夏休みの自由研究をテーマとしたオンラインツアー。福岡や東京などから2回で計約60人の小学生らが参加した。島内在住の自然や文化の専門家と参加者をインターネットで結んで、奄美の魅力を紹介した。
携わったのは同館企画・IT部門担当の有村奈津美さん(26)。有村さんは「島の文化、自然の大切さを知ってもらう企画。実際に島を訪れるリアルツアーも予定していたが、感染拡大で残念ながらできていない。でも、(コロナで起きている)変化に対応していかないと」と前を向いた。