侵攻避難のナディーヤさん訪問 ウクライナ支援 寄付に感謝  龍郷町龍瀬小

2022年04月14日

子ども・教育

龍瀬小の児童らと交流するナディーヤさん(中央)=13日、龍郷町瀬留

日本で働くため3月に来日し、龍郷町に滞在していたウクライナ人のツビリューク・ナディーヤさん(33)が13日、同町瀬留の龍瀬小学校(堀内俊勝校長、児童81人)を訪れた。同校によるウクライナ支援への寄付に感謝を伝えるためで、児童らと交流したナディーヤさんは「困難があっても決して夢を諦めず、かなえてください」とエールを送った。

 

ウクライナ西部に住んでいたナディーヤさんは、ロシアの侵攻による緊張状態から逃れて沖縄県で働くため、先月27日に来日。就職までの間、友人の中川沙織さん(43)=同町瀬留=の家に滞在しており、同校の児童らが栽培・収穫したサトウキビの売り上げをウクライナの人道支援金として寄付したことを知った。

 

ナディーヤさんの来日は5度目。2006年にキエフ・ナイチンゲール合唱団員として初めて日本を訪れ、その後も留学や宣教活動などで来日し、中川さんを訪ねて奄美大島にも4回来島した。今後は沖縄を生活拠点とし、ウクライナに残る家族も呼び寄せるつもりだという。

 

同校を訪問したナディーヤさんは、1時間目の授業時間に5・6年生と交流。通訳を介し、侵攻前のウクライナの様子や歴史・文化などを写真や地図を使って紹介した。

 

質疑応答の時間には多くの児童がウクライナの現状などについて質問。ナディーヤさんは「町が壊された場所では連絡がとれない人もいて不安。戦争の本当の理由は分からないがロシア人全員に怒りを向けないでほしい」とし「平和のためには一人一人が助け合い、互いを尊重することが大切」と訴えた。

 

ナディーヤさんはウクライナの民謡も披露。美しくも切なさを感じさせる歌声に、児童らは真剣な表情で聞き入っていた。6年生の﨑田乃愛さん(11)は「歌がとてもすてきだった。戦争はニュースではあちら(遠い場所)のことだけど、実際に話を聞いて辛いことなんだと分かった」と感想を話した。

 

交流後、ナディーヤさんは「子どもたちの純粋な心に勇気の種をまくことができた。平和が戻ったら日本とウクライナの子どもたちが交流をしてほしい。龍郷町の人たちにもとてもお世話になったので感謝している」と笑顔で語った。