排水機場が完成 水害から守るとりで 排水能力、毎秒2・5トン 奄美市住用町石原

2020年12月03日

政治・行政

完成した住用地区排水機場=2日、奄美市住用町石原

完成した住用地区排水機場=2日、奄美市住用町石原

 奄美市が住用町石原で2015年度から整備を進めていた「住用地区排水機場」の完成披露式が2日、同施設前であった。10年の奄美豪雨で多くの住宅が被害に遭った石原、西仲間両集落(計102世帯)などを水害から守る目的で整備された。式には行政関係者や施工業者、集落住民ら約50人が参加し、防災のとりでとなる施設の完成を喜んだ。

 

 排水機場は住用地区道路冠水対策として事業費7億4700万円で整備。約6年かけて今年11月に完成した。周辺の住家を水害から守ることに加え、国道58号の道路の冠水を防ぎ、災害に強い地域づくりに役立てる目的。

 

 石原集落の低地に設けた約3000平方メートルの遊水池の水位が底から2㍍に達すると、自動で近くを流れる住用川に向けて排水が行われる仕組み。周辺地域の冠水被害を防いだり、冠水までの時間を遅らせ救助・避難活動の強化につなげる。

 

 2台のポンプによる排水能力は毎秒2・5トン。満水にした25メートルプールの水を、3分半ほどで空にできる計算。遊水池や施設内の様子は監視カメラで住用総合支所から監視でき、大雨時に職員が施設へ直接行かなくても支所から遠隔操作が可能という。

 

 式で朝山毅市長は「(排水機場整備は)石原、西仲間集落の皆さんが安全安心して生活できる環境づくりのため避けて通れない公共事業だった」などと述べ、施設の完成を喜んだ。

 

 石原集落の橋本弘政区長(68)は「(排水機場の完成で)水害に対する安心感は高まった。ただ台風など災害の危険は他にもあり、今後も地域での防災意識を高めていけたら」などと話した。